市川一家4人殺人事件
凶悪犯罪事件に惹かれる
過去にもブログで、「光市母子殺害事件」や「足利事件」などについて扱った本を取り上げていますが、凶悪犯罪については犯罪に対して強い憤りを感じるとともに、興味を惹かれます。
(過去記事)
・(書評)なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 門田隆将 | ブックスたきがわ
・(書評)殺人犯はそこにいる 清水潔 | ブックスたきがわ
市川一家4人殺人事件
世田谷一家殺害事件も、「真犯人を知っている」という本があったりしてこれはこれで読んでみたいと思いますが、世田谷一家殺害事件について調べていたところ、「市川一家4人殺人事件」という事件があったことを知りました。
事件の概要はWikipediaを見て頂くとして(めちゃくちゃ胸糞悪く、かつめちゃくちゃ長いですが…)、犯行当時未成年で会ったこと等も含め、極めて重要な事件だと思いました。
それにも関わらず、世間ではあまり有名ではないのは、被害者の1人が存命であるからなのかもしれませんが。
ちなみに犯人は死刑が確定し、昨年執行されています。
(参考リンク)
・市川一家4人殺人事件 – Wikipedia
こちらも関連書籍あり
ちなみにこの事件についても本が書かれています。
Amazonのレビューを見ると、賛否両論ある内容のようではありますが、読んでみたいと思います。
今日のマネテクポイント
世の中には「どうしようもない極悪人」が存在する、ということを再確認させてくれたことは少なくとも評価に値する
多くのレビューで指摘されている通り竜頭蛇尾な内容の本ではあるが、少なくとも「常人の理解の範疇を超えたどうしようもない極悪人」がこの世に存在することを再確認させてくれたことは評価に値すると思う。
なんだかんだ少年でも死刑になるとはいえ、永山則夫連続射殺事件(永山則夫)、大阪・愛知・岐阜3府県連続リンチ殺人事件(木曽川・長良川事件とも。小林正人・小森淳・芳我匡由)、光市母子殺害事件(福田孝行→大月孝行)と最終的に死刑が確定した少年死刑囚たちでも下級審は無期懲役判決だった。
それに対し、この事件の犯人・関光彦は第一審(千葉地裁)、控訴審(東京高裁)、上告審(最高裁)と一度たりとも減軽されることなくストレートで死刑判決を受けて確定している。これは永山事件以降及び平成の少年事件ではこいつ(2001年確定)と、それから15年後の判例が蓄積されてきた後の石巻3人殺傷事件の千葉祐太郎(2016年確定)だけである。
しかも、光市事件で最高裁が一・二審の無期懲役判決を破棄して審理を差し戻した際には「犯行当時少年というだけでは死刑を回避すべき決定的な事情であるとまではいえない」とされたが、裏を返せばそれまでは「少年というだけで死刑回避の決定的な事情になりうる」ということでもあった。現に、同じく殺害人数2人であり、単純殺人の光市事件とは異なり強盗殺人である名古屋アベック殺人事件の主犯の少年は第一審の死刑判決が控訴審で破棄され、無期懲役判決が確定している。そのような、少年犯罪に対する厳罰傾向が今よりずっと低い時代において一審、二審、上告審と一貫して死刑判決が支持され確定したという事実が、この事件の凶悪さを何よりも強く物語っている。
そこまで酷い事件の割には世間では全くと言ってよいほど知られていない、という現実に違和感や危機感を覚える。それどころかネット界隈ですら、死刑にならなかった女子高生コンクリート詰め殺人事件や名古屋アベック殺人事件の方が「少年事件の代表格」「史上最悪の少年犯罪」として取り上げられる一方で、この事件をそのように挙げる声は少ない。これでは「未成年なら死刑にはならない」という、関と同じ馬鹿げた考えを持つ人間が多数出るのも無理はない。コンクリ・アベック両事件とは違い強姦被害に遭った被害者女性が生存しているが故に報道しにくい面はあるだろうと思うが、この事件こそもっと大大に知られなければならないと思う。
個人的には、上記の理由に加えて永山同様少年にして単独犯で4人を殺害したという事件内容から、「(永山以降で)史上最悪の少年犯罪」と聞かれたら迷わずこの市川一家4人殺人事件を挙げる。
次点が、3人の少年を中心とした少年グループが大阪ミナミ、木曽川・長良川河川敷で11日間に4人をリンチし殺害、史上初めて犯行当時少年複数人の死刑が確定した大阪・愛知・岐阜3府県連続リンチ殺人事件。
この双璧に加えて5本の指に入るのが光市事件と、一度は死刑判決が下るも無期懲役に減軽されたアベック事件、あと一つは成人だったら死刑になったと思われるが犯行当時14歳であるため、刑事処分も科せなかった神戸市連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)。
非常に言い方は悪いが、無期懲役にもならなかったコンクリ事件はせいぜい栃木リンチ殺人事件(無期懲役確定)、最近死刑が確定した石巻3人殺傷事件などとともに歴代ワースト10に入るくらいだ。司法の場でどこまで重く見られてきたかを考えれば、自ずとこの結論が出なければおかしい。
無闇矢鱈にコンクリ事件についてのみ「史上最悪の少年犯罪」と無責任に尾鰭を付けて話を独り歩きさせているのは、実際に少年でありながら死刑が確定したこの一家惨殺事件や木曽川・長良川事件などを矮小化させ、青少年らに「未成年ならどんなに殺人を犯しても死刑や無期懲役にはならない」という、まさに関が勘違いしていたような間違った知識を植え付けているも同然だし、そのような不逞な輩の「共犯者」とすら見て取れる。
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