(書評)0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書 落合陽一

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2019年03月26日

(書評)0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書 落合陽一

こんばんは、落合大好き、ヨーイチ滝川@マネテク!です。

というわけで、地元の図書館の新着図書通知サービスで落合陽一の著書の新着通知を登録していたところ、通知が来たので早速予約して借りてみました。
非常に読みやすい内容でページ数もそれほど多くないので、さらっと読めました。

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気になった部分を抜書き

例によって、気になったところを拭き書きしておきたいと思います。

魔法のワード「正解はない」

生徒から声があがらないという状況を打破するために、僕はよく、ある魔法のワードを使います。
「これは、僕が今、思いついたことだから、正解はないんだけどね」
といった前置きをしながら聞くのです。
「正解はない。」
そうわかると、学生達は安心していろいろな意見を出してくれるようになります。

世の中には正解がないものの方が圧倒的に多いので、「正解以外のことを言ったら馬鹿にされるのではないか」というような思いは全くもっていらないと思います。
どんな意見でもいいので意見を表明するということは大事だと感じています。

文化資本は経験を生み出すもの

幼児期から子供にさまざまな経験をさせてあげたい一番の理由は、人間の能力の差の大部分は、経験によってもたらされると僕が考えているからです。

人間が持っている基本の能力にはそれほど差がないと考えています。
ものすごく処理能力が高い人でも、せいぜい他の人よりも2倍か3倍程度でしょう。
しかし、経験を含めた能力差は人によって大きく違います。
こういった経験を生み出すものを文化資本と考えることができるでしょう。
文化資本は、教育に金銭的コストをどれだけかけるられるか、だけでなく、大人が自分の持ちうる知識やネットワークをどう活用するかで決まるのです。

人間しか持てない内在的なモチベーションが大事

文系・理系の区分と同様に。よい大学に入れば、よい企業に就職できて、安定した生活が送れるという近代的な価値観は、産業構造の変化・ポストものづくり社会への移行によって大きく変わりました。
コンピュータシステムの知的生産能力や処理能力は、そう遠くないうちにある程度人間を超えていくでしょう。
その中で専門性はないが学歴だけがある、何者でもない汎個性的な人の価値は下がっていくでしょう。
その時、人間が最適化されたITシステムの枠を飛び出すのに必要なのは「これをやりたい」という内在的な、そして強烈なモチベーションです。
実社会の問題とシステムを用いて解決してしていく仕事はより増えています。

正課と課外のバランス調整は家庭のタスク

効率性・公平性を重視するのが現在の学校教育のカリキュラムですが、その課外であるはずの習い事に達成条件のリストはないほうがよいと僕は考えています。
カリキュラムがないと習熟の速度にはばらつきが出ますが、個人の興味や関心が尊重されることの方が課外の教育では重要ではないでしょうか。
つまり、画一的な教育とバランスを取ることが重要だと考えているからです。
現在の学校教育があまり多くの子どもたちのやる気を伸ばせないのは、すべての教科の指導要領が画一化されているからだと思います。
人間にはそれぞれ違った価値感があるので、工程表通りにやることが向かないこどもも、たくさんいます。
正課と課外のバランスを取り、のびのびやらせてあげることも大切なのではないでしょうか。
そう考えると、この調整は各家庭のタスクということになるでしょう。

オンラインの授業・サロンが有効

大学は人材の専門性を保証し認定する機能のほうが現状強いので、キャリアを考える上では、学費の安い国立大学に入って基礎を学びながら、オンライン講座で国内外問わず有名なスター教授に学ぶ、というやり方が学部生にはお得かもしれません。
もちろん、理系で研究をしたい人は、学部を終えた後に大学院が5年間あるので、直接指導を受けたい先生がいる大学に行った方がよいと思います。
また、博士号を取るつもりがない人は、自分の好きな分野のMOOCやオンラインサロンを選ぶ方が賢いかもしれません。
要は学び続けること、コミュニティを選び参加するフットワークを軽くすることが大切でしょう。

同調圧力が生まれる必然

”国民の標準化・均質化”とは、国民一人ひとりの思考の傾向、「常識」となる基本的な考え方、あるいは肉体的な能力を、国が標準を設けてそれに合わせ水準をそろえることです。

国民国家の理念のもと、自由と平等が保障され多様な国民によって構成された国では、国家が人々を「統率する」ことは難しく、国家の号令に国民が一糸乱れずに従うような状況は生まれにくいでしょう。
そこで法と制度で縛れないものを作り上げるのは「空気」や「常識」です。
国歌は、教育を通じて国民の「標準」を設定し、そこに向けた「均質化」を図り、近代教育システムは、国民間で同調抑圧が働くような「空気」を醸成しました。
これは、山本七平が言うように日本の社会を作り上げるのに大きな役割を果たしていると思います。

速読講座受けてみたい

高校時代、受験勉強のついでにSEGという塾の速読講座に通ったのですが、その経験は今も役に立っていると感じます。
仕事で膨大な論文や資料を一気に読まなければならないことも多いのですが、速読を身につけると、本を読み込むのには時間がかかるという先入観がなくなります。
おかげで研究や仕事の能率は格段に上がったと思います。
目は鍛えるものという発想も新鮮な発見でした。

読書大事

それまでは娯楽として本を読んでいましたが、大学に入ってから勉強として読む本が増えたと思います。
当時、生物学類にいた先生から1日1冊本を読みなさいと言われたので、岩波文庫を買い集めたりして、かなりの量を読んでいましたね。
影響を受けたのは、ノーバート・ウィーナー、マックス・ウェーバー、マーシャル・マクルーハンなど。
特にノーバート・ウィーナーの「人間機械論」には大きな影響を受けています。

一度成功するまでが大変

僕は研究室の学生に、イノベーションはハードモードから始まり、いずれイージーモードに変わるとよく言っています。
普通のゲームや教育の過程では、簡単なステップから始めて、少しずつ難易度の高いハードモードに移っていくことがよいとされますが、イノベーションは逆です。
最初の山が一番高い。

なぜなら最初は資金体力もなく経験もなく、チームも小さいからです。
失敗なしの成功などありえません。
イノベーションを生むためには、そういった失敗の経験は必要不可欠なプロセスなのです。

失敗するのは当然ぐらいの感覚で、学び続けることをやめず、チャレンジすることを怖れずに生きていきましょう。
チャレンジも、学びも、自分のライフスタイルとして楽しみながら継続していきましょう。
その継続がブラッシュアップされれば、確率的に必ずイノベーションが生まれるはずなのです。

まとめ

わりと散文的な内容で自論を展開するエッセイみたいな感じなのですが、内容としては面白かったですし、上記の通り気づきとなるポイントもありました。
落合陽一が言っていることはシンプルですね。

0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書
★★

星の基準
★★★★★ 手元に置いて何度も読み返したい名著 買って配りたい
★★★★ また読みたい、いい本。他人に勧めたい
★★★ よい本だった。また読むかは微妙。
★★ 読む価値のある部分もあるが…。また読むことはなさそう。
★ 時間の無駄だった。

今日のマネテクポイント

職場の上司が落合陽一の講演を聞いて感心したと言っていました(上から目線w)。
私も仕事をサボって講演を聞きに行ったことがあるのですが(笑)、あまり会場の雰囲気とか気にしない、独特のプレゼンですよね。

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by ジョージ滝川 at 23:08 │ Comments(0) 読書  
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