(書評)劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか 山口周
こんばんは、読書大好き、ブックス滝川@マネテク!です。
以前、「外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術」という本を読んで以来、山口周さんをフォローしています。
目次
新着図書通知サービスからの即予約
地元の図書館では新着図書のメール通知サービスがあり、著者名や書名が設定した条件に当てはまる図書が入荷した時にメールで通知してくれます。
非常に便利なので、「著者名=山口周」で登録してあります(ちなみに、「著者名=落合陽一」でも登録してあります(笑))。
というわけで、この本も新着通知のメールが来たので、さっそく予約して読んでみました。
なぜ現在の日本の企業、特に大企業が劣化したオッサン社会になってしまっているのか
内容はなぜ現在の日本の企業、特に大企業が劣化したオッサン社会になってしまっているのか、ということを解説した本です。
一番最後に「本書のまとめ」が書かれているので、エッセンスはそこだけでも理解できると思います。
まとめ
- 組織のトップは世代交代を経るごとに劣化する
- オッサンは尊重すべきだという幻想を捨てよう
- オピニオンとエグジットを活用してオッサンに圧力をかけよう
- 美意識と知的戦闘力を高めてモビリティを獲得しよう
気になった箇所を抜き書き
以下、気になったところを抜き書きしておきたいと思います。
「組織のリーダーは構造的・宿命的に経時劣化する」
人事評価では、能力や成果が正規分布してることを前提にして評価を行うことが一般的なので、ボリュームとしては中心となる二流が一番多いのではないかと思うかもしれませんが、実際には能力も成果も正規分布ではなくパレート分布していますから、三流が数の上では圧倒的な多数派ということになります。
したがって、「数」がパワーとなる現代の市場や組織において、構造的に最初に大きな権力を得るのは、いつも大量にいる三流から支持される二流ということになります。
これは何も組織の世界に限った話ではなく、書籍でも音楽でもテレビ番組でも同じで、とにかく「数の勝負」に勝とうと思えば、三流にウケなければなりません。
資本主義が、これだけ膨大な労力と資源を使いながら、ここまで不毛な文化しか生み出せていない決定的な理由はここにあります。
「数」をKPIに据えるシステムは、構造的な宿命として劣化するメカニズムを内包せざるを得ないのです。
二流の人間が社会的な権力を手に入れると、周辺にいる一流の人間を抹殺しようとします。
イエス・キリストを殺そうとしたヘロデやパリサイ派の司祭、ジョルダーノ・ブルーノを火刑にかけた審問官、トロツキーに刺客を送って暗殺したスターリンなどはすべて、二流であることが露呈するのを恐れて一流を抹殺した二流の権力者と言う構図で理解することができます。
大きく古い組織ほど、劣化する
この劣化は、組織が「大きく、古くなる」ことでより顕著になります。
本当に停滞して社会の閉塞感の要因となっているのは「大きくて古い会社」であり、中小・中堅企業の中にはしっかりと成長している会社がたくさんある
東証二部の平均株価は直近15年で67%と大きく上昇しているそうです。
一方で東証一部の主要銘柄から構成されるTOPIX Core30のパフォーマンスはマイナス24%ということで、実は当初二部の方が平均株価の上昇率は高いということらしいです。
単純に比較できるのかどうかわかりませんが、興味深い話だと思いました。
何もしないのは権力者を支持しているのと同じこと
一連の不祥事を起こした企業に身を置きながらオピニオンもイグジットもしないということは、これらの不祥事に自分もまた加担し、それらを主導した権力者を支持している、ということにほかなりません。
サーバントリーダーシップ「支配型リーダーシップからの脱却」
いかにも従来型の管理職のイメージが「支配型リーダー」です。
「支配型リーダー」のモチベーションは「大きな権力の座につきたい」、重視することは「競争を勝ち抜き自分が賞賛されること」、部下への影響力の持ち方は「権力を使い、部下を畏怖させる」というものです。
これに対して「サーバントリーダー」のモチベーションは「地位にかかわらず、他者に奉仕したい」、重視することは「協力して目標を達成し、皆がウィンウィン、部下への影響力の持ち方も「信頼関係を築き、部下の自主性を尊重」と全く異なります。
過去には支配型リーダーシップが有効だったこともあるのだとは思いますが、現代においては確実に有効性が下がっており、サーバントリーダーシップが有効です。
つまり、リーダーシップ のパラダイムシフトが必要だということです。
日本からイノベーションがなかなか起きないのは、とてつもないことを考える若手が少ないということではなく、これを大きく支援できる大物、サーバントリーダーシップが欠如している
失敗のダメージが小さいセカンドステージにたくさんチャレンジし、自分なりの「失敗のマニュアル」を作ってしまうことで、サードステージにおいて大胆なチャレンジができる、つまり「自分はどこでもやっていける」という自信の形成につながる
セカンドステージは、人生を100年と考えたときの第2クォーター、つまり25歳から50歳です。
個人的にも、学生時代のような、いくらでもやり直しのきく失敗コストが非常に低いタイミングではリスクを取って起業などにチャレンジすることが非常に有効だと感じています。
劣化するオッサン社会の処方箋
★★★
星の基準
★★★★★ 手元に置いて何度も読み返したい名著 買って配りたい
★★★★ また読みたい、いい本。他人に勧めたい
★★★ よい本だった。また読むかは微妙。
★★ 読む価値のある部分もあるが…。また読むことはなさそう。
★ 時間の無駄だった。
今日のマネテクポイント
山口周さんはTwitterでもたまに持論を展開されていますが、有料メルマガとかやってくれたらぜひ読みたいと思うのですが…。
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