帝王切開の費用
帝王切開で気になるのが帝王切開で出産する際の費用です。
結論から言うと、帝王切開での手術による出産の場合と、通常の自然分娩による出産で、費用的に大きな差はありません(若干は高くなる、という傾向はあります)。
もともと自然分娩による出産は病気でないため費用は全額自己負担ですが、帝王切開の場合は「異常分娩」という扱いになるため、費用には健康保険が適用されます。
また、保険診療による支払いが一定額以上になった場合は、高額療養費の対象となります。
高額療養費とは、1ヶ月の医療費が一定の限度額を超えた場合に、あらかじめ限度額適用の認定申請を行っておくことで、病院窓口での支払いを自己負担限度額までにすることができる制度です。
例えば、所得区分が「一般」の方(住民税を払っていて、年間所得が600万円以下の方)の場合、限度額は267,000円となり、自己負担額は80,100円です。
267,000円を超えた部分については1%を負担することになります。
ですので、月をまたがず、出産後の退院まで同じ月のうちに済ませることができた方が費用の面では得になるケースがあります。
また、帝王切開に限った話ではありませんが、出産でもらえる補助金としては、以下のようなものが挙げられます。
出産育児一時金 35万円
出産手当金 日給×2/3×日数分
育児休業給付金
児童手当
失業給付 … 出産・育児で働けない場合、期間延長特別措置(最長で4年まで)があります。
さらに、こちらも帝王切開に限った話ではありませんが、出産に関する費用は確定申告での医療費控除として申請が可能です。
少しでも控除を増やして支払う税金を減らすのがよいと思います。
帝王切開の理由
帝王切開の理由にはいろいろなものがあります。
帝王切開の理由は、基本的には、
(1)すぐに分娩をしなくてはならないケース
(2)物理的に経膣分娩ができないケース
(3)産道感染の恐れがあるケース
の3つのに大別されます。
そして、帝王切開の理由として一番多いのは逆子(骨盤位)です。
逆子の場合、通常の経膣分娩だと出産時に何かしらのトラブルが発生するリスクがあるため、帝王切開をする、という判断になることが多いです。
上の分類では、(2)のパターンですね。
ちなみにアメリカでは逆子の場合は100%帝王切開となります。
その他の帝王切開の理由としては、
・常位胎盤早期剥離
・子宮奇形
・前置胎盤
・既往帝王切開後妊娠
※一度帝王切開で出産した場合、その後の妊娠についても帝王切開で出産するケースが多いようです。
・児頭骨盤不均衡
・胎位異常:骨盤位(逆子)、横位、顔位、頤位など
・性感染症
・Non-reassuring fetal status:児の低酸素状態などが疑われ、急速遂娩を要するが鉗子適位に無く吸引分娩、鉗子分娩が不可能な場合。
・分娩停止:微弱陣痛、軟産道強靭など。薬剤などによっても陣痛の増強が得られず、また吸引分娩、鉗子分娩が不可能な場合。
珍しいケースとしては、通常の経膣分娩で出産しようとしたところ、胎児がへその緒を握りしめているために経膣分娩による出産ができず、急遽帝王切開による出産をするパターン、なんてのもあります。
帝王切開の手術方法
帝王切開の手術方法としては、現在は「腹式帝王切開」という、お腹を開く手術が一般的です。
過去には、妊娠中期子宮内胎児死亡や中期中絶の際、膣式帝王切開という手術が行われていたことがありました。
帝王切開の手術方法を簡単に説明すると、以下の通りです。
(1)皮膚切開
お腹の部分の皮膚を切開します。
方法としては、縦に切開する縦切開と、横に切開する横切開の2つがあります。
縦切開は簡便な反面、術後に傷跡が目立ちやすいため、緊急時の帝王切開では縦切開で手術が行われることが多いです。
一方、横切開での帝王切開は、術後の傷跡が目立ちにくいため、予定していた帝王切開ではこの方法で手術をすることが多いようです。
ちなみに帝王切開での手術となると傷跡が気になる方も多いかと思いますが、横切開の手術方法で切開する部分は陰毛の上端あたりですので、傷跡は目立ちにくく、ビキニの着用も可能です。
(2)皮下組織、筋膜、腹膜の切開
(3)子宮筋切開
(4)胎児娩出
(5)子宮筋縫合
胎盤についてもここで取り除かれます。
(6)子宮筋縫合
(7)止血確認・腹腔内洗浄
そのままにすると、腹膜が癒着してしまう可能性があるため、腹膜癒着を防ぐために、癒着防止吸収性バリアを貼付することが多いようです。
(8)腹膜・皮下組織・皮膚縫合
切ったのと逆の順番で縫っていきます。