(書評)葬送の仕事師たち 井上理津子
こんばんは、仕事大好き、ワーカホリック滝川@マネテク!です。
世の中にはいろいろな仕事がありますが、「おくりびと」で有名になった納棺師をはじめとした「葬送の仕事」について書かれたのがこの本です。
前々から読みたいと思っていたのですが、ふと思い出して図書館で予約し、読んでみました。
普段なかなか向き合わない世界
人間は死からは逃げることができないのに、死と向き合うことは避けるような気がします。
そういった、あまり表に出てこない世界だと思いますが非常に興味深く読みました。
死んだ直後というのは、死んではいるものの、そこには生きていた時と大きくは違わない実体があるわけで、その故人に対して何ができるのかということを本当に考えて仕事にしている、誇り高き人たちの話がとても印象に残りました。
自ら経験した、身近な人の死を通して
私自身、父が亡くなった時に、病院で父を看取ってから通夜、葬式、火葬、納骨と付き添っていたのですが、特に病院で看取ってから葬式までの間、人間の体がどんどん「ヒト」から「モノ」になっていくと言うような感覚を感じました。
どういうことかというと、例えば健康のために見た目は悪くても体によい物を摂っていたとしても、死んでしまったものにはそんなことは何も関係ないということです。
具体的に言うと、(父がそうだったわけではないのですが)例えばステロイドを使うことによる副作用を嫌ってステロイドを一切使わずに皮膚病を直そうとしていたとしても、あるいはステロイドを使って皮膚病の症状を抑えていたとしても、死んでしまえば外見的に見えるものが全てなわけで、そんなことは分からなくなる、というような類のことです。
誤解を恐れずに言えば、表面上きれいに取り繕われていれば、中身は分からない、と言ってもいいかもしれません。
ただ一方で、死んだ人のことを考えると、そういった「モノ」としての扱いではなく、「ヒト」としての扱いをしてあげたいと思うのはある意味当然なのかもしれません。
まとめ:こういう世界もある、ということを知るべき
個人的には死んでしまえば後は焼かれて骨になってお墓に入るだけ、という感覚もあるのですが、一方でその間、死んだ人の尊厳を保つためにできるだけのことをしてあげたほうがいいという気持ちもあります。
なのでいわゆるぼったくりが入り込む余地も非常に多いところだと思うのですがそういったところで誠実に個人と向き合っている人がたくさんいるということに清々しい気持ちになりました。
死について考える機会はなかなかないと思うので、一度こういう世界があるということを知っておくのも良いと思います。
葬送の仕事師たち
★★★
星の基準
★★★★★ 手元に置いて何度も読み返したい名著 買って配りたい
★★★★ また読みたい、いい本。他人に勧めたい
★★★ よい本だった。また読むかは微妙。
★★ 読む価値のある部分もあるが…。また読むことはなさそう。
★ 時間の無駄だった。
今日のマネテクポイント
容易に想像できるように、事件や事故に巻き込まれたとんでもない遺体というのもあるわけで、そういった状況でも「ヒト」として尊重する姿勢は本当にプロフェッショナルだと思います。
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