日本のグランドデザイン

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2011年02月04日

日本のグランドデザイン

こんばんは、読書大好きブックス滝川@〜マイレージ・クレジットカード〜 マネーテクニック!です。

というわけで、「日本のグランドデザイン」、読みました。

この本は、三橋貴明という人が書いた本です。
管理人はこの本を読むまで存じ上げなかったのですが、先日書店でこの方が書いた「中国がなくても、日本経済はまったく心配ない」という本が平積みにされていて、興味を持ったので図書館で予約して借りてみました。



まず感想ですが、なかなか面白かったです。

些細なツッコミは入れようと思えばいくらでも入れられそうではありますが、基本的な論点は極めて明確、かつ納得的です。

すなわち、要約すると、
・現在の日本には成長こそが全ての解。
・そのためにはデフレギャップを埋めるための政府による需要創出が必要。

そして、
・マスコミや「あの連中」により不当に貶められている日本は、ものすごい力を秘めた国であり、舵取りの仕方さえうまくやれば(グランドデザインさえしっかりできれば)、繁栄できる
ということになります。

管理人は政治的な意味ではほぼノンポリだと思いますが、日本がもっといい国になって欲しい、と思っています。

そういう意味では、日本中に蔓延する悲観論は幻想だということを理路整然と説明してくれるくだりは読んでいて非常に楽しかったです。
日本という国に、もっと自信を持っていいと思います。

マスコミによる情報操作など、今となってはインターネットの世界では当たり前と思われている感もありますが(マスコミの報道はほとんど全てと言っていいくらい、何かしらの主観、恣意的なものが加わってしまう、ということです)、偏向報道よりよっぽど厳しい情報統制がされていて言論の自由がない国も世界を見れば存在するわけですから、世界全体で見れば、正しい情報をもっている人というのは少ないのかもしれません。

というわけで、なかなかためになりましたので、気になった点をメモしておきたいと思います。
(一部、本文からそのまま引用したものもあります)

・「希望を語る」「夢を実現する」という基本的なことすら、政治家が誰もやらなくなってしまった。政治家やマスコミが語らないのであれば、我々国民自らが語るしかない
・現在の日本社会が閉塞感に満ち、人々の気分が滅入りがちなのは、悲観主義に捉われ、物事を成り行きに任せているため。
・「知識人階級」が悲観的なことを叫んでいればインテリに見えるという勘違いをしているので、マスコミなどで日本破綻論や日本悲観論があふれているが、日本は素晴らしい力を秘めている。
・先進国の中でも最も犯罪率が低く、経済的に豊かで、製品やサービスの品質が極端に高く、自然に恵まれ、多様な文化が花開いている日本に住みながら、自国の悪口ばかり繰り返している「あの連中」ほどひどい人種は、他に類型を見ない。

・「日本は少子高齢化で人口が減っていくから成長しない」はツッコミどころ満載
・人口が減るから経済成長しない、は間違い。
・資源国は輸出できるから成長するが、日本は資源を輸出できないから成長できない、は間違い。
・中国のように不動産バブルを起こし、自然を破壊しまくっても経済成長は達成される。
・日本ほど公共投資を削っている国は他にない。
・必要なインフラ投資等で需要不足を補うべきである。

・「日本は財政破綻する」とか「国民一人あたりの借金が…」とか言っている人は、B/Sが読めない、すなわち、自分は素人だ、と言っているようなもの
・当然ながら、国の借金は家計の資産(もしくは企業の資産)。
・日本の対外純資産は約250兆円。
・デフォルト(債務不履行)を起こした国の債務は例外なく外貨建て。日本政府の対外債務はほぼ100%円建てであり、デフォルトの可能性はほとんどない(紙幣を刷ればいい)。
・「ハイパーインフレ」(年間インフレ率13,000%)を実現するためには、1京円(10,000,000,000,000,000円、国民1人あたり1億円以上)の紙幣を新たに刷る必要がある。
・インフレになれば、政府債務の相対的な割合は下がる。
・政府の負債とGDPを比較しても何の意味もない。負債がGDPより少なくてもデフォルトするときはデフォルトする。
・「国債発行は国の借金のツケを、将来世代に押し付ける行為だ」は成り立たない。将来世代は国債が満期になったら償還により恩恵を受ける。

・成長こそが全ての解
・日本経済の問題はデフレギャップ拡大に起因した低成長→需要を増やすのが解決策。
・「ムダの削減」だけでは財政健全化は不可能。シュリンクするだけ。
・日本の輸出依存度は、実は他国と比べても低い。輸出拡大より、内需拡大。
・ドイツの高速道路は60km以上で走れるものが単位面積あたり日本の2.3倍、100km以上で走れるものは5倍存在している。道路の作りすぎという批判は短絡的。

・日本のグランドデザインを描くべき
・アメリカの石油文明の次は、日本の電力文明、発電の燃料は海水から採取するウラン、メタンハイドレート。
・日本の都市文明は世界的に見ても極めて高度に発達している。
・高齢者は車社会では生きていけない。
・高齢者を都市に移住させることで、高齢者が自立した暮らしを送ることが可能になる。
・人口の都市集中を進めるべき。
・リニア新幹線の活用で、人口1億人を鉄道2時間以内で結ぶ。建設費8兆円は国家が負担するのにふさわしい事業。
・ガソリン自動車は、全て電気自動車に置き換える。

・「日本は世界最大の食糧輸入大国で、海外からの農産物輸入が止まれば、みんな飢え死にしてしまう」は大嘘
・日本は世界5位の農業大国(生産額ベース)。
・日本の食糧輸入は対GDPで1%未満、中国と比べても低い。
・農水省が、(農水省の予算を増やすために)日本でしか使われていない「カロリーベース自給率」なる奇妙な指標を発明し、日本は農業貧国だということにした。
・比較となる他国の「カロリーベース自給率」は他国が発表していないので(というか計算していないので)わざわざ予算を使って「推計」している。
・「カロリーベース自給率」の場合、国産の鶏でも、えさが輸入されたものの場合は国産とみなさない。
・鶏卵は96%が日本で生産されているが、「カロリーベース自給率」はわずか9%。
・「カロリーベース自給率」では、分母には廃棄された食品も含む、恣意的に自給率を低く見せるための指標。
・農業の高齢化の問題は、大多数を占める兼業農家の人が引退しているだけ。

・日本は世界唯一の大衆知識社会
・レーニンがソ連で数々の「伝統を壊す社会実験」を行ったが、その中で、女性の社会進出を進めるために、女性を家事や育児から解放し、子供を国家が育てる、という「家族解体政策」を行った。これにより、家族が崩壊した。
・大事なのは、「選択」権。女性の社会進出を「強制」してはならない。
・景気がよくなると出生率が上がる。すなわち、究極の少子化対策とは、経済成長なのである。
・日本のマスコミがもてはやす国は、階級社会。特にヨーロッパの国々や中国は、厳しい階級社会。
・欧米諸国では、エリートと大衆では受け取る情報が異なる。例えば、フランスの一流新聞、ルモンドの発行部数はわずか35万部、アメリカのニューヨークタイムズでも103万部。日本では、読売新聞が1,100万部。すなわち、日本には、「エリート」がいない。
・日本国民の知識水準は高い。
・世界のブログ投稿に使用される言語において、日本語は常に英語とトップ争いを演じている。Twitterでの使用言語としても2位。
・ポケモンの「子供が主人公」は欧米のキリスト教的価値基準から言えば異様。子供はしつけがなっていないため、まだ人間ではない。当然、人間が行く高級レストランに連れて行くことはできない、というのが欧米的発想。さらに言えば、「少年とモンスター」のコンビはキリスト教的価値観から言えばとんでもない設定。人間は他の動物よりも上位だから。

日本のグランドデザイン
★★★★
星の基準
★★★★★ 手元に置いて何度も読み返したい名著 買って配りたい
★★★★ また読みたい、いい本。他人に勧めたい
★★★ よい本だった。また読むかは微妙。
★★ 読む価値のある部分もあるが…。また読むことはなさそう。
★ 時間の無駄だった。

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by ジョージ滝川 at 11:23 │ Comments(0) 読書  
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